日本の器を見ていると、同じ種類の焼き物でも、色や質感、表面の景色が少しずつ違うことに気づきます。これは単なる「個体差」ではありません。器が形づくられる土、表面を覆う釉薬、窯の中での焼成、そして作り手の手仕事が重なって、一つひとつ異なる表情が生まれます。
なぜ日本の器は一つひとつ違うの?
焼き物の表情を大きく左右するのが、まず「土」です。土の種類や状態によって、焼き上がった器の色や質感は変わります。さらに、釉薬を使う場合は、どのような釉薬を掛けるかによって、表面の色や光沢、見え方が変わります。
そして重要なのが「焼成」です。窯の中では、器がどのような環境で焼かれたかによって仕上がりに違いが生まれます。同じ土や釉薬を使っていても、焼き上がった器が完全に同じ表情になるとは限りません。そこに、手で成形する工程などが加わることで、自然な個体差が生まれます。
備前の器で見る、土と焼成の表情
その違いを感じやすい例の一つが、森本仁さんの「備前 ぐい呑 平」です。岡山県・備前の作品で、素材には炻器が使われています。直径68mm、高さ33mmの小さなぐい呑で、作家による一点物です。
備前の焼き物を見るときは、均一な色や形だけを見るのではなく、土と焼成によって生まれた表情に注目してみると、器の見方が変わります。
有田の磁器では、釉薬や手仕事にも注目
もう一つの例が、寺内信二さんの「マンガン金結晶釉 片口預け鉢」です。佐賀県・有田の作品で、素材は磁器。直径170mm、高さ55mmで、ろくろを用いて手作りされた一点物です。
こちらでは、磁器そのものだけでなく、「マンガン金結晶釉」という釉薬の名前にも注目できます。釉薬は焼き物の表面をつくる重要な要素の一つ。同じように見える器でも、釉薬の表情や成形の違いによって、印象は変わります。
焼き物は「違い」を楽しむもの
日本の器を選ぶときは、写真とまったく同じものを探すというより、色、質感、形、表面の変化など、自分が惹かれる部分を見つけてみるのがおすすめです。
特に一点物なら、その器だけが持つ表情をじっくり見られるのも魅力です。「少し色が違う」「形にわずかな揺らぎがある」といった違いを欠点として見るのではなく、土、釉薬、焼成、手仕事が重なった結果として楽しむ。これが、日本の焼き物を選ぶ面白さの一つです。
気になる日本の器を探すなら、JapanCartを通して日本の商品を探してみるのも一つの方法です。お気に入りの一枚を、写真だけでなく、その器が持つ表情まで見ながら選んでみてください。